月光荘

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2008/05/05 ISSUE

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・エッセイ「君からメールが来ないから」第2回 (文・佐藤 正訓)
・編集後記 (文・山藤 輝之(SUNTRONIX))

■エッセイ「君からメールが来ないから」第2回 (文・佐藤 正訓)

今年の4月で27歳になった。もういい大人だ。子供の頃、27歳といったら立派な大人のように感じた。別世界を生きている人のように感じていた。
けれど、結局は何も変わっていないのだ。その頃ぼんやりと思い浮かべていたもの、仕事や結婚、そして子供なんて正直夢のまた夢なのが現状だ。
一般的な「大人」が持っているものを何も持っていないのだ。今でも、幸せそうなカップルや家族連れを見ると、つい泣き出したくなってしまう。
そんなどうしようもない思い、そんななんの役に立たないものばかり引きずり回しながら今日も生きている。
ただ、何も手に入れられなかった代わりに、「尽きない思い」だけはいつまでも、初恋の頃感じた気持ちのまんま自分の中にあり続けている。
それが幸せなことなのか、不幸なことなのかはわからない。わかりたくもない。ただ、今はその「尽きない思い」だけで生きている。
今晩、横浜でフラワーカンパニーズのライブを観てきた。通称フラカンと呼ばれる彼らの音楽が今もそしてこれからも僕の中に流れ続けている。
彼らの新曲「この胸の中だけ」を聴くたんびに、自然と涙が溢れてくる。
この曲は、一つの物語のように紡がれていく。
中年になった主人公が、ふと懐かしくなって小学校の校庭に忍び込む。
そこで出会うのは、子供の頃の少年の自分。そこで2人は対話する。大人になって忘れてしまったことを大人の自分は子供の自分に教えられる。
「そもそも幸せって一体何だろうね?」「夢中になれるもの持ってるて事だろ?」
夢中になれるもの、今の僕には確かにあると言える。今は、それだけで、その思いがあるだけで胸がいっぱいなのだ。
おじいさんになって、ひとりぼっちで死んでいくその日まで、夢中になれるものを持って生きて行きたいと思う。
もう、それだけで十分なのだ。

これかも夢中になれるものを通して、多くの素敵な音楽や人に出会って行きたい。それでちゃんとご飯を食べていけたら、もうそれだけでよいのだ。
27歳も良い年になれたら嬉しい。




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■編集後記 (文・山藤 輝之(SUNTRONIX))

というわけで、Webマガジン「月光荘」5月号はニーネの特集でした。
ニーネというバンドの魅力については、特集ページに書かれている通り。
西荻窪のジョナサンでサダさんと大塚さんに会ってインタビューをさせてもらって、
大塚さんに積極的に協力してもらって、記事をまとめた。
既にニーネのファンだという人にも、知っているけれどライブは観たことないな、という
人にも、全然知らないという人にも、興味を持って読んでもらえれば嬉しい。
ここ日本に限っても、現在活動中のロック・バンドが星の数ほどいるわけだけれど、
こんな風に語りかけてくるバンドには、中々お目にかかれないはずだから。

また、ニーネを軸にした知り合いには、何故だかユニークな人が多い。
そのことも、バンドのユニークさから来るんじゃないかなぁ、と思っている。

桜の季節も終わって、新緑の季節がやって来た。
これを書いているのは、世間的にはG.W.が始まったばかりの、4月27日(日曜日)。
俺はといえば、大人のG.W.(終わりが見えない)の真っ只中です。

最近買って良かったもの。
曽我部恵一ランデヴー・バンドの「ランデヴー・BOX」。
3000セット限定、真っ黒のLPサイズのBOXに、サニーデイ・サービスの4thアルバム、
「サニーデイ・サービス」を弾き語りで再演したアルバムと、ランデヴー・バンドの
ライブ・アルバム、それに7インチのレコードに、DVDがついて、6,000円。
ブックレットも充実しているし、この価格は安いといえるんじゃないかな。
通販と、下北沢CITY COUNTRY CITY店頭の限定販売だと思う。
で、聴いたのはまだCDの2枚だけなんだけれども、自分のこれまでの音楽人生?
において、サニーデイ・サービスの「サニーデイ・サービス」というアルバムが大きな
ターニング・ポイントをになっているので、非常に感慨深かったです。
ザ・ムンズのリーダー、宮本君もこのアルバムはフェイバリットとのこと。
それから、ブックレットに書かれていたことで、ランデヴー・バンドの構想
にあたっては、ヴァン・モリソンの「ASTRAL WEEKS」、ロニー・リストン・スミスや
ファラオ・サンダースのアルバムの音の構成が頭にあったようで、なるほどな、と思う。
ファラオ・サンダースはちゃんと聴いたことがないんだけれど。
曽我部バンドとは対極にあるような表現なので、こういうプロジェクトを同時に推進
できるこの人の音楽的引き出しの多彩さと深さには、本当に驚かされる。

あとは、ちょっと前になってしまうけれど、宇多田ヒカルの最新アルバム
「HEART STATION」は、良く聴いたなぁ。
何というか、2008年現在の、日本の音楽シーン、ポップ・カルチャーの最先端に位置する
アルバム。
とにかく曲がいいし、歌詞もいい。
前作も相当良かったと思うけれど、ばっちり越えてきたね。

音楽と関係ないことを書くと、大人になってから読書量がめっきり落ちていたの
だけれど、最近少し増えました。
主に小説。
何を読んだらいいか分からないということもあって、村上春樹を沢山読んでいたけれど、
やっぱり「ノルウェイの森」は良かったです。
長編よりも短編集の方が好きかもしれない。
ECDの「いるべき場所」という自伝も凄く良かった。
ECDは文章がシンプルで説得力があって、下手な作家よりずっと文章が上手いと思う。

こういうことは自分のBlogの方でだらだらと書いているのだけれど、あえてここにも
書いてみました。
色々読んでいるし聴いているし、「月光荘」にも幅を持たせたいな、と思って。
徐々にバランスよくできたらいいかな。
今月も、ありがとうございました。
来月も、お楽しみに。




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