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2008/05/05 ISSUE

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・shibata emico/in the night (文・佐藤 正訓)
・shibata emico インタビュー (聞き手・佐藤 正訓)

・プラタナスハードライン/ニーネ (文・山藤 輝之)
・「8月のレシーバー」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・「うつむきDXOK」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・「アンチリアルロック」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・「ハッピータイム ハッピーアワー」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「2003/9/7 高円寺JIROKICHI」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「2003/10/26 渋谷屋根裏 (ライブ+スタジオリハ)」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・「SEARCH AND DESTROY」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「アボガドロの悲劇」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「endless_summer」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「何も考えていないわけじゃあないんだよ」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「2006/02/19 THE LAST LIVE OF KAWAMU」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「ニーネ 2007/7/9 下北沢」/ニーネ (文・山藤 輝之)
・CD-R「大塚久生 ピアノ弾き語り@440+1」/ニーネ (文・山藤 輝之)

■shibata emico/in the night (文・佐藤 正訓)

夜の帰り道、一人口ずさみたくなる歌がそこにある。尽きない思いが夜空に消えていく、今夜も、そして明日も明後日も。思いは、歌ととともにいつまでも生き続ける。
山形県酒田市出身、現在は東京在住のシンガーソングライターshibata emicoの1stフルアルバムを聴きながら、東京の夜をひとり歩いてた。まちの灯りが少しずつ色を変えるように、彼女の歌声もそのときそのときの感情によって彩りが変わっていく、夜の闇を照らすライトのようなあかりとともに。
昨年3月、彼女としては初作のミニアルバム『シーズン・ソングス』を発表。三輪二郎がギターで参加しているなどバンドサウンドがメインの作品であった。しかし、今回は全編彼女だけの弾き語りだ。歌とピアノ/歌とギター/歌とローズピアノ/のいずれかで構成されている。
今作はタイトルにもあるように、「夜」をテーマとした楽曲、通低音としての「夜」が常にある。昼と夜、明と暗はいつも寄り添って離れない。愛し合う恋人同士のような間に生まれる光。それが彼女の歌を聴いていると感じることができる。nightとlightの間で。




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■shibata emico インタビュー (聞き手・佐藤 正訓)



●はじめての方へ自己紹介をお願いします。

shibata emico(以下shibata):はじめまして、shibata emicoです。日本人です。鍵盤やギターで弾き語り等をしたりして音楽をしている者です。2007年スオミレコードからリリースしたミニアルバム「シーズン・ソングス」に続き、今回blunstoneから「in the night」というフルアルバムをリリースします。現在は東京、たまに京都でライヴしたりしています。



●今回の1stフルアルバム聞かせて頂きました。鍵盤とギター、そしてうただけとは思えない1曲1曲ごとの完成度がすごいと思いました。今回の録音で1番こころがけたこと、作品づくりで苦労した点など教えて頂けますか?

shibata:一番心がけたことは、イメージした情景をそのまま録音することです。色彩音ってやつですかね。それがある音楽が好きなので、実現出来るよう努めました。苦労した点は、これは苦労とは言えないかもしれませんが、やはりうたに気持ちを込め集中して演奏することは簡単なようで難しいことだと感じました。ライヴでもそうですが、やはり集中力が全てなんだなぁと思いました。



●タイトルにもある通り、「夜」をテーマとした楽曲が多いです。通底音として常に夜があるような気がします。柴田さんご本人は夜についてどんな思いをお持ちなんでしょうか?

shibata:基本的に、昔から夜行性ですね。本来夜は眠る為にやって来るのだと思いますがそこに刃向いたいのか何なのか、夜になると元気になってしまいます。曲が出来るのも夜です。このアルバムに入ってない曲たちを見てみてもやはり夜なんだと思います。まぁ一人になり様々思い巡らすのも夜ですから当然なのかもしれませんが・・・。今後は朝の曲を創るのが目標かもしれません。



●今回はじめて柴田さんの曲に触れる方も多いと思います。そんな方たちへ今回の作品の聴き所など教えて頂けますか?

shbata:何気なくさらっと聴いて頂ければ嬉しいです。フニャコツ・チンさんのカバー曲の「レインソング」やタイトル曲「in thenight」等、弾き語りですが色々な空気を感じて頂ける作品なのではないかな、と思っております。春先の夜長の御供に是非。



●ありがとうございました。今後の活動、抱負をお願いします。

shibata:今後は5月6月と東京で沢山ライヴをします。今現在は今回エンジニアを務めてくれた瀧田氏とゆっくりペースで録音しておりますので、また近いうちに新しい音源を発表出来るかもしれません・・・未定ですが。今年の抱負は、東京・京都以外の地でもライヴしてみたいなぁと・・・(あと半年位ですが・・・)コーラ飲んで頑張ります。

(インタビュー初出:『トランジスタラジオで聴きたい日本のロック便り』:
ディスクユニオンお茶の水駅前店、またイベント『都会の迷子さん』にて配布中!!)




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■「プラタナスハードライン」/ニーネ (文・山藤 輝之)

このミニアルバムは、現在SOLD OUTとなっており、中古で出回っている数もそう多くない
と思われる。
紹介しても、入手が難しい作品をここで取り上げるのもどうかな?と思ったけれど、
幸運にして後追いで入手できた者として、作品の魅力を伝えておきたい。
1曲目の「窓の外」は、軽快なリフとリード・ギターが心地よいロックン・ロール。
この曲を含め、どの曲もライブで披露されたことはあるので、これからも聴ける機会が
あるかも知れない。
音質的には、「8月のレシーバー」に通じるものがある。
ニーネにはロックン・ロール・ナンバーの印象が強いが、メロディアスでポップな曲も
あって、「ブラブラマン」は、後者の名曲。
ニーネは川本真琴の「タイムマシーン」をライブでやっていたりもするけれど、
「ブラブラマン」のメロウな部分は、それに近い印象があるかも…。




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■「8月のレシーバー」/ニーネ (文・山藤 輝之)

なんといっても、ライブでも披露されることが多く盛り上がる、「酔っぱらっている」が
名曲。
この曲か、同じくこのアルバムに収録されている、「SUMMER MELODY」がニーネの
代表曲かも知れない。
歌詞も印象的で、ニーネはサウンドだけじゃなくて、歌詞が飛び込んで来るから、ライブ
でもノレるんだ、と思っている。
「先に起きてくれないか」なんかは、「関白宣言」じゃないけど、随分勝手な歌詞だなぁ、
と思ったのを覚えている。
ローファイなサウンド、しかし初期衝動に満ち溢れた、開放的なロック・アルバム。




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■「うつむきDXOK」/ニーネ (文・山藤 輝之)

ニーネの入門に向いているCDは、このミニアルバムか、次作の「アンチリアルロック」
かな、と考えている。
好みにもよるけれど、ポップな作品。
録音・ミックスは、ゆらゆら帝国etcでおなじみ、ピース・ミュージックの中村宗一郎氏。
パンクっぽい生々しさ、日常に根ざした歌詞、ポップなメロディに衝撃を受けた、筆者が
ニーネに出会った1枚。
切ないメロディの、「空を見ていると...(futures)」が名曲。
小沢健二が96年頃に出した8cmシングルはどれも素晴らしいが、その中の「恋しくて」を
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド的なハードなコード・カッティングでカバー
しているのも聴きどころ。




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■「アンチリアルロック」/ニーネ (文・山藤 輝之)

このアルバムは、聴くよりも先に、ジャケットやレーベル、帯の裏、トレーにいたる
アートワーク、歌詞を見て、その時点で名盤だと確信したのを覚えている。
ジャキジャキしたギター・サウンドと、「はなそうぜ!」や、「うつぎみDXOK」、
「復活の歌」の、ダイレクトで切実な歌詞が印象的。
エモーショナルなリード・ギターもかっこいい。
CDだけれど、”擦り切れるほど”聴いた1枚。
無人島に持って行っても良い保証付きの名盤だ。
前作での小沢健二に続いては、尾崎豊の「I LOVE YOU」という、並みのロックン・ロール・
バンドでは、思いつきもしないカバー曲を収録。




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■「ハッピータイム ハッピーアワー」/ニーネ (文・山藤 輝之)

何となく宅録感の溢れる、チャーミングな作品。
これもライブで盛り上がる、キャッチーな「タイ料理」を収録。
「タイ料理 タイ料理」と繰り返されるコーラスは発明と言っても良いユニークなもの。
ライブでは、ギターソロが長く演奏されることもある。
「しあわせのひびき」も、アレンジを大きく変えて、今もライブで披露されることがあり、
一時期は重要な位置を占めるレパートリーだった。




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■CD-R「2003/9/7 高円寺JIROKICHI」/ニーネ (文・山藤 輝之)

これはライブのCD-Rだけれど、とても良く聴いた。
「ブラックホールBABY」の70年代ロック的な、一風変わったリフと、コーラスの裏での
動き回るベースのフレーズが驚異的。
「ハッピーマンデイ」も、この頃のライブではほぼ毎回演奏されるような重要な楽曲
だった。
また、「夏休みは終わりだ」も、最初カバー曲なのかな?と思ってしまったほど、
キャッチーな曲。
ここには収録されていないが、サダさんが歌う「俺も4トンに乗るぜ」など、必ずしも
恋愛に結びつかない、メッセージ性の強い楽曲が多くなってきた頃かも知れない。




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■CD-R「2003/10/26 渋谷屋根裏 (ライブ+スタジオリハ)」/ニーネ (文・山藤 輝之)

ニーネ史上、もっともハード・コアだった?攻撃色の強いライブ盤。
この頃はMCもほとんどなかったり、ニーネにしては、ぴりぴりしたライブを展開していた
ように思う。
「はまれ(平凡以下の生活)」が変則的なリフと、強烈な歌詞で印象的。
この頃のニーネはSTOOGESのようだった、かも知れない。




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■「SEARCH AND DESTROY」/ニーネ (文・山藤 輝之)

9曲入りのアルバムに、ボーナストラックとして、ライブ音源を追加。
ライブで何度も演奏され、練りに練られた楽曲が並ぶ。
シリアスでメッセージ性が強く、70年代ロック的な骨太な新曲が並ぶが、「Oh!りんご」
は子供も喜びそうな、チャーミングな曲。
メンバーチェンジを経て、大塚さんのロック、ドラム岡さんのメタル、ベースのカワム
さんのファンクというそれぞれの持ち味がぶつかりあい、融合した一枚。
個人的に、2000年代の音楽とは?という題目について考えることがあるが、この頃の
ニーネは古き良きロックに根ざしているようで、新しい感覚を持ち合わせ、その条件を
満たしていると思う。




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■CD-R「アボガドロの悲劇」/ニーネ (文・山藤 輝之)

ロックン・ロール・バンドとしてのニーネの魅力を表す1枚。
「あっちの男」は、ゆらゆら帝国のような、漫画のような歌詞。
ニーネの魅力として、大塚さんのヴォーカルと、70年代洋楽ロックやシカゴ・ブルースを
彷彿とさせるリード・ギターのコントラストがあるが、ここにもいかんなく発揮されて
いる。




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■CD-R「endless_summer」/ニーネ (文・山藤 輝之)

ザ・ムンズ竹野くんも名曲と太鼓判を押す、「クレイジーラブ」収録。
竹野くん曰く、「誰にでも書ける曲じゃない」。
「やさしい気持ち」も、この頃少なくなっていたメロディアスでしっとりとした名曲。
「バイトしようかな」は、曲自体は古いらしいが、強烈なロックンロール。




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■CD-R「何も考えていないわけじゃあないんだよ」/ニーネ (文・山藤 輝之)

このCD-Rシリーズ(?)では、「アボガドロの悲劇」、
「何も考えていないわけじゃあないんだよ」の音がいいのも魅力の一つ。
(「アンチリアルロック」のセッションで録音されたものと思われる。)
「俺も4トンに乗るぜ」のライブ音源も嬉しい。




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■CD-R「2006/02/19 THE LAST LIVE OF KAWAMU」/ニーネ (文・山藤 輝之)

長くニーネのメンバーを務めた、ベースのカワムさん脱退前最後のライブが収録
されている。
カワムさんは、ライブで観て、本当に上手いと思った数少ない(唯一の?)ベーシスト。
「共通の帰り道」は曲展開がプログレッシヴ?でらせん状に昇っていくような感覚を
憶える、ドラマチックな1曲。




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■CD-R「ニーネ 2007/7/9 下北沢」/ニーネ (文・山藤 輝之)

最近のニーネのライブで演奏されることの多い、ポップではじけるようなリフの
「スランプさん、自力で復活!!」を収録。
「心に火をつけてくれ」もこの頃大塚さんがはまっていた、布施明の影響なのか?歌謡的
なメロディが印象的な、熱い曲。




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■CD-R「大塚久生 ピアノ弾き語り@440+1」/ニーネ (文・山藤 輝之)

この日のためにピアノを練習した大塚さんの弾き語りは、「8月のレシーバー」の
「かっこつけて行こう」でピアノを弾いていた時と同じように素朴なもの。
この音源を聴いた友人曰く、「お客さんの笑い声と一緒に笑ってしまうのだけれど、
笑ったあとに、はっとする」というようなことを言っていた。




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